クラシックカーで世界一周を夢見るアルゼンチン人の一家が日本にやってきた。夫婦で旅立って足かけ10年、その間に4人の子どもをもうけた。自炊し、車で寝泊まりする日々。ぜいたくはできないが、のんびり旅と人生を楽しむ一家に、旅先で出会った人たちはひかれ、応援の手を差し伸べている。
ブエノスアイレス出身の元電気技師ヘルマン・ザップさん(42)と妻のカンデラリアさん(40)がブエノスアイレスを出発したのは2000年1月。4年かけてアメリカ大陸を縦断。アルゼンチン国内の旅行を経て、07年4月にアジアに向けて出発した。
車はザップさんが一目ぼれし衝動買いした1928年の米国製グラハムページ。タイヤホイールは木製で、ワイパーは手動。クラクションにはロバがいななく声を仕込んである。子どもが生まれ手狭になったからと、旅の途中で車を切断し他の車体を継ぎ合わせて車長を40センチ伸ばした。
年に数回は故障するが修理代を払ったことは一度もない。コロンビアからパナマ、ニュージーランドから韓国と、過去6回、船で海を渡った時も、お金を払ったのは一度だけ。ある船長は「夢の一部を引き受けられて光栄だ」と言ってくれた。ザップさんは「この世は神がつくった以上にすてきだよ」。
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