【ワシントン=望月洋嗣】広島、長崎への原爆投下機の両方に乗り組んだ唯一の米兵ジェイコブ・ビーザー氏(故人)の遺族が、朝日新聞の取材に「オバマ大統領が核不拡散を訴えるなら、広島こそ最もふさわしい」と述べた。米国では、原爆投下は日本の降伏に必要だったとする歴史観が根強い。投下機の乗組員の遺族が、米大統領の被爆地訪問を支持するのは異例だ。
26日に長崎を初めて訪れるルース駐日大使が8月6日に広島入りした際は、広島への原爆投下機「エノラ・ゲイ」の故ティベッツ機長の遺族が反発し、オバマ大統領の訪問にも強く難色を示した。
だが、ジェイコブ氏の息子で米ボルティモア在住の会社経営エリック・ビーザーさん(60)は「米政府が謝罪する必要はない」としつつ、過去の教訓に学んで核を二度と使うべきではないと話した。
レーダー技師として「エノラ・ゲイ」と長崎の原爆投下機「ボックスカー」に乗り組んだジェイコブ氏は、原爆投下で日本が降伏し、米軍の日本本土上陸作戦も実現しなかったため、日本の市民や米兵らの命が救われたと考えていた。生前は「もう一度投下するか」と取材などで問われると、「同じ状況ならイエス」と答えた。
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