Saturday, September 25, 2010

足かけ10年、旅の間に三男一女

アメリカ大陸縦断では、絵を描いて路上で売り、食いつないだ。その後、旅をつづった本を出版。旅行資金は本の売り上げと、旅先で写真入りカレンダーを売ってまかなう。全財産は4千ドル(約34万円)ほど。
 韓国・釜山から8月、フェリーで福岡市に到着した。途中立ち寄った愛知県岩倉市のバイク店経営伊藤卓司さん(40)はカレンダーを買った。「彼らのような旅にあこがれるけど、僕には無理。だからこそ、世界一周の夢をかなえて欲しいし、少しでも力になれたらうれしい」
 これまで約30カ国、20万キロ以上を旅した中で印象に残った場所の一つに、ザップさん夫妻は長崎と広島を挙げる。カンデラリアさんは、広島の平和記念資料館で焼け焦げた三輪車を見た途端、涙がこぼれた。あの瞬間まで無邪気に遊んでいた子どもがいたんだと実感したという。
 子どもは8歳から1歳までの3男1女。長男(8)はインターネットの通信教育で学び、ザップさん夫妻も車内で読み書きを教える。カンデラリアさんは「それぞれの土地でいろんなものを見て、人の優しさに触れ、偏見を持たず接することを学んで欲しい」と語る。
 今後は、フィリピン、タイなどを回り、インドを目指す予定だが、長男が10歳になったら、ひとまず旅を中断するという。ブエノスアイレスに戻ったら、もう一つの夢である、旅行者を温かく迎えられる宿の建設に取りかかるつもりだ。(岩田誠司)

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